2023/01/11

クラリティ FUEL CELL試乗レポート

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中の人的にずっと気になってる車があるんです。燃料電池車。
最近は路線バスなどでも見かけますが乗ってみたい。いや自分で運転してみたい。
と思っていたら、Honda EveryGoにあるじゃないですか『クラリティ FUEL CELL』が!
リース専用なのでこの自動車を個人で買うことはできないのですが、実に気になるのでTypeR30周年の取材で茂木に行くついでに借りてみました。

横浜市の綱島SSTにあるステーションで借りることができました。
もっと近場にあるといいんですが全国でここの1台のみ。
(ちなみに中の人の自宅からだともてぎと綱島SSTは全く逆方向なのでめっちゃ不便)

Honda EveryGoで借りだしたらまずは隣のスタンドにて水素の充填をしてみます。
メーター見ると半分ぐらいは入っているのだけど、水素ステーションはまだアチコチにないので入れられるうちに入れておきたいところ。

水素の充填についてはガソリンのようにセルフは認められていないので、店員の方がやってくれます。
車体側のフューエルリッドを開け、水素のノズルを車体側のレセプターに接続。
店員の方が指差し確認をし、水素の充填が始まります。
水素はマイナス40度に冷やされた状態で気体のまま最大82MPa(約820気圧)で車両側の水素容器(車両側は70MPa)に送り込まれます。時間にして数分、ガソリンよりはすこし時間がかかりますが、バッテリーEVのように30分待たされることもないので充填のための時間ロスは格段に少ないですね。
充填が終わり精算をすませレシートを見ると2.43kg入りました。
水素の価格はENEOSの水素ステーションでは1kgあたり1,650円、今年から値上げされたとのこと。

水素を満タンにしてメーターを見ると航続可能距離は578kmと出ました。この数字覚えておいてください。
ここからツインリンクもてぎ改めモビリティリゾートもてぎへ向かいます。
ルートはナビに任せて高速道路を選択。
ACCとLKASは今の車では珍しくもない装備になってきましたが特にACCは本当にありがたいですね。高速に乗ってからほとんどアクセルペダル踏まずに済んでしまうほどです。
それとクラリティの場合はスピードメーターの表示をフロントウインドウに映し出すヘッドアップディスプレイが装備されているので、視線移動も少なく運転は実に快適。
しかし一点非常に気になるのは、電気自動車の宿命ではありますが高速道路はかなり電気食うようです。
ストップ&ゴーを繰り返す街中の一般道ではブレーキ時の回生エネルギーのチャージができますが、高速道路ではチャージされる場面がほとんどないため消費するばかりとなります。
水素ステーションを出たときに見た航続可能距離と、高速走行中の航続可能距離+トリップメーターの値が全然合いません。トリップメーターの数値の1.5倍ぐらいの勢いで航続可能距離がガンガン減っていきます。まじで。

などと考えているうちに目的地に到着。
ここでクラリティの各部を注目してみます。

ボンネットを開けエンジンルーム(エンジン無いのでその呼称は正しくない)を覗いてみると、まるでエンジンのように見える機器は燃料電池スタックと駆動ユニットなどからなるパワートレイン。
ガソリン車の感覚でボンネットを開けてまず思ったのが「まったく熱を発生していない」ということでした。
各部を触ってみたわけではないのですが、ガソリン車であれば走行直後はそれなりに熱をもっている場所なのに、燃料電池車では全然熱を感じませんでした。

ボンネット裏面にある水素の車載容器の証票。
これを見ると「充填可能期限」というのがあることがわかります。
この車両の生産年月はわからないですがクラリティFUELCELLが2019年12月発表でしたので13年ほどで高圧水素タンクの使用期限を迎えることがわかります。
調べたところ水素タンクの使用期限は15年と定められているようで、それまでの期間にも容器の再検査が必要とされているそうです。

車載のナビゲーションシステムでは、目的地検索に「水素ステーション」があるのが印象的でした。
水素ステーションは前述の通りセルフスタンドは存在しないためすべて有人の店舗であり、定休日や営業時間など注意する必要があるためこのナビでは○×で営業中かどうかも確認できるようになっていました。
Honda EveryGOの車両はENEOSの給油カードが備え付けてあるのでENEOSのスタンドに行く必要があります。
などとやっているうちに結構いい時間になってしまい、「帰りにどこの水素ステーションに寄れるか」を考えないといけない事に気づきました。ひょっとしてこのタイミングだと結構ヤバイんでは・・・?!(真岡市内で17:30頃だった)
というわけでまた高速に乗って都内に戻ることにしました。

都内に戻り会社の近くにあるスタンドにたどり着いた頃には航続可能距離は100kmまで減っていました。
今朝出発時に見た航続可能距離は578km。オドメーターは366.4km。
ほら計算合わない。
というか走り方とかによって航続可能距離は都度変わる訳です。

本日2度めの水素チャージは3.97kg
ここにたどり着いた時点で営業時間結構ギリギリでした。

水素を使ったモビリティはインフラの拡充が不可欠ですね。
そこそこ水素インフラがある場所だったり、市街地の走行のみで一日数十km程度というのであれば十分実用レベルだとは思いますが、高速に乗って遠出をするという使い方では燃料電池車には厳しいようです。
まだまだ水素ステーションは数が少ないうえに休店日や営業時間などで入れられるタイミングが限られているため、時間内にそこまでたどり着ける場所までしか出かけることができないというのが懸念点だと感じました。
そういえば前回Honda eに乗ったときは充電を何度かしなければならないものの充電スポットは結構あるのと基本セルフなのでいつでもどこでも充電できるインフラは街中であればなくもないと思った次第です。
せめて高速道路のSAに水素ステーションがあれば状況は変わってくるのではないでしょうか。

などと水素社会の到来に思いを馳せつつ綱島SSTに戻り、クラリティを返却しました。うう、名残惜しい・・。
水素インフラへの懸念はともかくとして、このクルマ乗ってると本当に面白かったです。
モーターならではの力強い発進加速、どこまでもスムーズな走行フィーリング、快適な車内。
出来ることならもう何日か乗っていたかったです!
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