2023/08/17

第36回東京モーターショー(2002年)

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※この記事は2002年10月29日に作成・公開された記事です。復刻にあたり複数記事の統合および表示画像のスタイル変更を行っています。
いよいよ今年の東京モーターショー「第36回東京モーターショー 2002 −商用車−」が始まりました。本日10月29日はプレスデー。一般公開より一足先に会場の様子をお伝えします。
会場となる幕張メッセは東京モーターショー一色。いたるところにピンクの看板が設置されています。中央ゲート付近には「TOKYO MOTOR SHOW」の文字が入った巨大なオブジェが置かれていました。

今日の開場は午前9時。もちろん会場に入ってすぐにホンダブースを目指します。
今年のホンダブースがあるのは最も幕張メッセ駐車場側の「西ホール」。正方形に近い形のブースの奥に横に長いステージがあり、その上に今回の参考出品車が展示されています。

【アクティ・コンポ】

まずはホンダブースから見てみましょう。こちらはブース奥のステージ中央に展示されている「アクティ・コンポ」。ごらんの通りフロントはほぼアクティトラックのままですが、後ろに大きなトレーラーがついています。写真でも実物でも大きく見えたこの「アクティ・トラック」ですが、実際の全長はラグレイトやレジェンドよりも短いサイズであるそうです(連結前のトラック単体、トレーラー単体はそれぞれ軽自動車サイズに収まっているそうです)。

その「アクティ・トラック」の側面。トレーラーのパネルが開いた状態で、中には二輪のオフロード車やヘルメット・ウェアなどの用品が積まれていました。イベント会場までのトランポといったイメージでしょうか。色々なものを積載するフロアは一番右の写真のようになっていて、汚れたときの掃除も簡単そうです。
後部はミニバン系の市販車のように上に開くゲートと、荷物出し入れの際にステップにもなる下部のゲートに2分割されていました。真後ろから見た「アクティ・コンポ」は軽自動車がベースになっていることがよくわかる車幅です。この写真ではトレーラー内部の後方が一段低くなっていますが、この部分は着脱式のフロアパネルがついていて写真を撮影したときはパネルが取り外された状態になっていました。パネルを取り付けるとトレーラー内部が前方から後方までフラットになるようです。
トレーラー内部はとても便利に作られています。まずはルーフの左右についているカーテンレールのようなもの。実はこの部分から100Vの電源を取ることができるようになっていて、展示車では照明やコンセントが取り付けられていました。そして壁面には打ち放しのコンクリートのように規則正しく並んだ小さな穴。この部分には小物入れやハンガーを掛けておくようなパイプのレールなど、自分の好きなものを簡単にボルトで固定することができるそうです。着脱式のフロアパネルや、電源に便利な壁面、使う人のアイデア次第でこのクルマの可能性はいくらでも広がりそうです。

トレーラー形状のため3列に並んだタイヤ、それから前方のトラックと後方のトレーラーの間に隙間がほとんどないことから、このクルマはどのように曲がるのだろうかと不思議でしたが、「アクティ・コンポ」では4WSを搭載し、ステアリングを切ると3列目のタイヤの向きが変わるようになっている(右にステアリングを切ると1列目のタイヤは右、3列目のタイヤは左を向きます)ため、この形状でも曲がることができるそうです。

トラック部分の室内にはこのような黄色のシートがついています。変わった模様ですが、よく見ると「アクティ・コンポ」の形がそのままシートの模様になっているようです。

【アクティ・スポーツ】

ステージの向かって左側に展示されているのが鮮やかなブルーが印象的なこちらの「アクティ・スポーツ」。こちらは見た目もサイズも市販車のアクティ・トラックに近いモデルです。
商用車だけど仕事も遊びもこれ1台で楽しんでしまおうというこのモデル。テールランプ付近はモビリオスパイクにも似ているような気がします。展示車では荷台スペースにホンダの四輪バギーが搭載されていました。「アクティ・コンポ」と同様、汚れを気にせずに何でも積めそうな荷台のパネルと、写真の四輪バギーのように重たいものを積むときに便利なウインチが特徴的です。ウインチで重い荷物を荷台まで引っ張るときには荷台に収納されているラダーレールを取り外して荷台と地面の間に斜面を作ることができるそうです。

「アクティ・スポーツ」でもう一つ特徴的なのが、荷台上部から客室上部までを覆うパイプのキャリア。キャリアの中央部にはネットが張ってあって、展示車ではサーフボードが固定されていました。パイプキャリアにはクルマ周辺を照らす作業用のランプが搭載されています。「アクティ・スポーツ」も荷台やパイプキャリアをどのように利用するのか、ユーザーのアイデアで様々な可能性を持ったモデルになりそうです。

コンセプトカーというよりもすぐにでも市販されそうな実用的な雰囲気を持った「アクティ・スポーツ」から、コンセプトカーらしいところを探してみました。フロントのバンパーの中の黒いパネル、ホンダの「H」マークのようにも見えますが、この部分がカーボンで製作されていました。それからホイールはボディカラーにあわせて内側がブルーになっていました。

【モビリオスパイク・プロ】

続いてステージの向かって右側に展示されている「モビリオスパイク・プロ」を見てみました。しばらく眺めていましたが市販車のモビリオスパイクとの違いがほとんどないようだったので、ホンダの方に違いを聞いてみたところ、モビリオスパイクの2列目シートをなくして荷室を広く取り、2列目シートがあった部分の床下を収納スペースとしているそうです。また外観や寸法についてはほとんどモビリオスパイクそのままで、商用車として使用する場合にモビリオスパイクの特長を活かして様々なカラーリングができるという1つの例として、今回はカラーリングしてある車両を出品しているそうです。
荷室の部分は写真のようにフラットになっていて、モビリオスパイクでは2列目シートがある部分のパネルを開けると、下には脱着が可能な収納ボックスが搭載されています。商用車としては重要な荷室スペースですが、ベースが大きなカーゴスペースを持ったモビリオスパイク、そのモビリオスパイクのベースが7人乗りのモビリオと考えれば、この「モビリオスパイク・プロ」は様々な用途に対応できるだけのスペースを備えた商用車であると言えそうです。
なお「モビリオスパイク・プロ」もコンセプトカーながらも非常に現実的なモデルだったので、市販化の予定を聞いてみたところ「今のところは具体的な予定はない」とのことでした。今回の出品で各方面からの声を集めるという目的もあるそうです。

今回展示されている「モビリオスパイク・プロ」はホンダの和光研究所のデザイナーの方がデザインしているそうです。スライドドアにデザインされた地図をよく見てみると、ホンダの本社である東京の青山周辺のものになっていました。ボンネット上とテールウィンドウにはホンダのホームページのURL「http://www.honda.co.jp」の文字が確認できます。

【燃料電池車 FCX】

ステージの右横には今年中にもアメリカと日本での販売が予定されているホンダの燃料電池自動車「FCX」のプロトタイプが展示されています。展示車の「FCX」は左ハンドルのアメリカ仕様となっていますが、国内モデルはハンドルの位置が変わるだけで、ほぼこの展示車のまま登場するそうです。
「FCX」は燃料として水素を貯蔵。現在首都圏での水素が充填できるスタンド(?)は1ヶ所で、来年に5ヶ所程度増設されるそうです。水素が空の状態から満タンにするのに必要な時間は3分程度、航続距離は355kmとなるそうなので、この辺りの数字はガソリン車に近いものがあります。
「FCX」は正面から見るとヘッドライトの辺りがロゴに近い印象を受けますが、横の方からクルマ全体を見てみるとロゴよりも二回りくらい大きなクルマであることがわかります。
発売前のプロトタイプのため、ボディの形状もホイールやタイヤなどもすぐにでも道路を走れそうな形状でしたが、それでも大きなフロントバンパーの左右に開いた開口部や、エアロミラーのようなドアミラーなど特徴的な部品も装備されていました。

【ホンダのその他展示車】

ホンダブースのステージ以外のスペースは市販車コーナーとしてアクティシリーズが6台展示されていました。市販車コーナーにも小さなステージがありそこに展示されていたのが「アクティ・クールシャトル」。軽商用バンとしては世界で初めて助手席に冷凍庫を搭載したモデルでプロトタイプとして参考出品されています(来年夏〜秋頃に発売の予定があるそうです)。
ホンダの方に話を聞いてみると、このモデルは主に宅配便をターゲットとしたクルマで、配達エリアが細分化されその代わり様々な荷物を同じ地域内に配達するという最近の宅配便事情を考慮し、冷凍品も普通の荷物も1台で対応できるように作られているそうです。
冷凍庫はエンジンの動力で駆動されているため(クルマのエアコンが冷える原理と同じです)特別なバッテリーなどは必要なく、またケース自体に断熱効果の高い方式を採用しているため配達の途中にエンジンを停止しても長い時間でなければ庫内の温度を保つことができるそうです。
冷凍ユニットはユニット全体で約60kgと軽量。これだけのコンパクトなサイズですが、宅配便の平均的な冷凍品の量と通常の荷物の量を考えると、冷凍庫は大きすぎるくらいの十分なスペースを持っているそうです。

アクティシリーズと並んで展示されていたのが福祉車両の「ストリーム・アルマス」。乗り降りがしやすいように、助手席のシートが回転し昇降するモデルです。写真中央の状態のシートに座ってみましたが、クルマに対して90度横向きに座るというのが初めての経験で何だか不思議な感覚でした。

【ホンダのステージショー】

ホンダのブースでステージでのショーが行われていました。ショーが始まると同時にステージの左右から2人のASIMOが登場。「人はなぜ働くのでしょうか?」という問いかけから、まずはホンダの今回のショーのテーマ「Fun! for All」について紹介します。
続いて各コンセプトカーを1台ずつ紹介。「モビリオスパイク・プロ」「アクティ・スポーツ」「アクティ・コンポ」の順で各車のコンセプトや特徴などが紹介されていきました。15分くらいのショーですがこれを一通り見るだけで今回のホンダの展示車をより知ることができるので、会場に行かれる方はぜひ実際のショーをチェックしてみてください。

【その他会場の様子】

ホンダのブースを見終わったところで、今度はホンダブースの近くにある自動車部品メーカーのブースを歩いてみました。部品メーカーは数が多く全部を見ることはできませんでしたが、タイヤメーカーや駆動系の部品など取り扱う部品ごとにブースが集中しているためわかりやすいです。いくつか見た部品メーカーのブースでホンダ車のパーツが展示されていました。左からオデッセイのコンプレッサー(豊田自動織機)、CR-Vのフロントブレーキキャリパー(曙ブレーキ工業)、CR-Vのフロントブレーキパッド(曙ブレーキ工業)です。
左の写真はシートベルトやチャイルドシートで有名なタカタのブース。チャイルドシートの装着実演が行われていました。右はブリヂストンのブース内。最近よく聞くタイヤの窒素ガス充填機が展示されていました。
続いてホンダブースのある「西ホール」からは一番遠い「東ホール」に来てみました。まずここで見つけたのがミニカーのトミカのブース。たくさんのミニカーの展示や今年の東京モーターショー開催記念モデルの販売が行われていました。
そのトミカのブースの隣にあるのが「ヴィンテージ商用車コーナー」。1970年代までの商用車が20台展示されています。ホンダ車を探してみると「バモスホンダ(写真左)」と「ライフピックアップ(写真右)」の2台が展示されていました。
「ヴィンテージ商用車コーナー」の隣には子供も楽しめる「はたらくくるまの絵本展」のコーナー。この裏側には海外の商用車カタログを閲覧できるコーナーが設けられていました。

同じ東ホール内で国土交通省が「バリアフリー」をテーマにしたコーナーをオープン。実際にバリアフリー化されたバスやタクシーの展示が行われています。
その隣には内閣府による「交通安全推進コーナー」。写真の人形を使った心肺蘇生のデモンストレーションなどが行われていました。
外に出てみるといつの間にか真っ暗。暖かい会場と冷たい風の吹く屋外でずいぶん気温に差があるようですので、これから会場に来られる方も服装にはお気をつけ下さい。
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