2023/07/18

第35回東京モーターショー<四輪車編>(2001年)

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中の人のハードディスクから発掘された過去のホンダネットにタイムスリップしてみましょう。
時は2001年、処は幕張メッセ。
第35回東京モーターショーの記事を復刻しました。
※この記事は2001年10月24日〜25日にわたり作成・公開された記事です。復刻にあたり複数記事の統合および表示画像のスタイル変更を行っています。

【会場入口〜ホンダブース】

■いよいよ今年の東京モーターショーが開幕!プレスデー初日となる今日10月24日は東京モーターショーの会場内から随時レポートをお届けしていきます!

■今日の開場は午前9時。30分ほど前に会場に到着するとすでに多くの報道陣が集まっていました。巨大なカメラを持っている人やテレビカメラを担いでいる人、周辺の道路を走り回るテレビ局のロゴが入った取材車など早くも慌ただしい雰囲気です。


■いよいよ9時に開場。真っ先にホンダブースに向かいます。今年のホンダブースは「中央ホール」の一番奥に位置していました。


【DUALNOTEとBULLDOG】

■ホンダのブースは既に大混雑。縦に長い長方形のブースの一番奥にステージがあって、ホンダの今回のメインテーマ『FUN MAX ! 〜 Take FUN to the MAX.』を形にした4台のコンセプトカーが展示されています。左から「BULLDOG」「DUALNOTE」「UNIBOX」「model X」の順でした。

■まずは「走りの楽しさ!」を表した左側の2台のコンセプトカーから。
こちらは「DUALNOTE」。V6の3.5L i-VTECのミッドシップエンジンにモーターアシストもついたハイブリッドカーです。普通のハイブリッドカーと違うのはこのクルマが「走りの楽しさ!」を追求したモデルであることで、エンジン+モーターでパワーは何と400PS!さらにモーターはフロントの左右タイヤそれぞれに搭載されていて、路面や走行状態によって四輪それぞれに適切な駆動力を配分できる4WDシステムを採用しているそうです。外観はスポーツカーらしく低く全高が抑えられたボディで、下半分がグレーのツートンカラーになっていることで、より車高が低く見えます。「400PSのクルマ」と聞いていたので、大きなボディを想像していましたが、実物は予想以上に小さなクルマでした。(特に前後方向に短く見えました)

■「DUALNOTE」には最先端の技術が満載で、車体外側でもいくつか確認することができました。写真左の独特な形のヘッドライトには、通常のライトのほかに前方の物体を認識するためのセンサーが内蔵されているそうです。右の写真はドアを開けた状態。ちょうどドアを開ける様子を見ることができましたが、各ドアについている小さなシルバーのボタンがスイッチになっていて、この部分を押す(触れる?)ことでドアを開けることができるようになっていました。


■こちらは室内の様子。前後席とも赤のバケットシートが採用されています。運転席はコックピットのような形状のためこの写真だと中がよく見えませんが、様々な情報が表示されるディスプレイがいくつも配置されていました。


■さすがに400PSのクルマだけあって、大きなタイヤが装着されていました。ホイールの内側には穴あきのローターと赤いキャリパーが輝いています。この奥には前輪駆動用のモーターがあるはずなのですが、ホイールのついた状態では通常のクルマとの違いは見られませんでした。

■続いて「走りの楽しさ!」を実現したもう1台のコンセプトカー「BULLDOG」です。となりの「DUALNOTE」を見た直後だったせいもあるかもしれませんが、盛り上がったボディに小さな窓で、ボリュームのあるずんぐりとしたボディに見えました。ただ、このクルマも写真を見て感じていたほど大きなボディではありませんでした。どこにでも気軽にアクセスして自分の欲しいモノを探し出すクルマということで、ナンバープレートの「BULLDOG」のロゴの上には「SEARCH ENGINE SPORTS」の文字が見られます。


■「BULLDOG」のリアです。大きなフェンダーが左右に伸びていて(近くで見ると本当に大きいです)真後ろから見ると「凸」型になっているので、とても安定感のある形です。テールランプは縦長でHR-Vのようですが、リアウインドウに接しているわけでもなくボディの内側に突然真っ赤なレンズが出現していてちょっと不思議な感じです。

■ボディの下には平べったいマフラーのような管が2本出ていました。ホイールは5本のスポークの間にクリアブルーのレンズがはめ込んであって、とてもきれいです。このホイールには「ENKEI」のロゴマークが入っていました。



■室内の様子は普通の市販車に近い感じで、それほど違和感がありませんでした。シートのフレームや前席の足元などにシルバーに光るパイプを見ることができます。ドアの内張は白のシンプルなもので、右下にはスピーカーのような形状の部分もありました。

■どこでも気軽にいける「BULLDOG」には、クルマで入れないところも走れる小型のバイク「e-DAX」が搭載されています。リアハッチを開けると中には折り畳んだ状態の「e-DAX」が2台搭載されていて、通常はリアシートの座面とヘッドレストになっている部分が「e-DAX」のシートとして利用されています。

【model XとUNIBOX】

■今度は「移動空間の楽しさ!」を形にした2台。まずはステージ一番右の「model X」です。このクルマは今年初めのデトロイトショーにも出品されていて、今回の4台のコンセプトカーの中では一番市販車に近い形をしているように思えます。縦に大きなクルマで、ボンネットやフロアの位置はかなり高めでした。


■シンプルですが迫力のあるフロント周り。ボディの下の方はグレーになっていて、正面から見るとこのグレーの部分が大半を占めています。ツートンカラーになっているせいか、ボディのオレンジ色がすごく鮮やかに見えたのが印象的でした。

■今度は「model X」のボディ側面です。前後のドアが観音開きになっていて、両方のドアを開けると中央の写真のように室内が丸見えになります。ボディ後方の屋根も開けることができて、開放的な室内です。

■展示されていた「model X」は左ハンドルでした(デトロイトで展示されていたのと同じクルマ?)。車内はオレンジのシート(遠くから見ると木目調かと思いました)と緑の内装が組み合わされていて、森の中のような雰囲気です。

■「移動空間の楽しさ!」を表すもう1台のコンセプトモデルが「UNIBOX」。今回のコンセプトカーで一番驚いた透明のクルマです。外からは車内の様子はもちろんのこと、金属の骨格や木のフロアや内装を見ることができて、パッと見た感じはクルマではなくてFMラジオの屋外スタジオのような感じでした。

■このクルマは中が見えないのはタイヤとフロント周りくらいのもので、ヘッドライトの周辺も中が見えるように作られていました。

■ドアの部分のスペースに、小型のバイク「CAIXA」が収納されています。出し入れも簡単そうで、左端のの写真の状態からリフトで20cmほど持ち上がり、その状態からバイクを押し込むだけで収納完了です。ドアの中にバイクをしまうという発想がすごいですね。

■こちらもパネルと室内の隙間に収納できる荷台で「i・CARGO」というステッカーが貼ってありました。荷台なのにナビを搭載しているそうです。

■透明ボディという驚きのデザインながらも便利な設備を装備している「UNIBOX」。左の写真で青く光っている部分は発電機です。さっきは見逃してしまいましたが、リアのタイヤは片側に2個ずつついていました。フロントよりも二回りくらい小さなタイヤです。何の仕掛けもないように見えるホイールは実は優れもので、ホイール本体にショックアブソーバーとしての機能を内蔵しているそうです。

■こちらは室内の様子。ドアが閉まっていても室内が撮影できる便利なクルマです。通常のクルマだとルームミラーのある部分に小さなモニターが横に長く連なっているのが見えます。この部分にはクルマの周囲の風景が映し出されていました。


■今日1日で何回かこの「UNIBOX」の近くまで足を運びましたが、見るたびに外側のパネルが変更されていたような気がします。上の写真のような透明パネル、アルミ風のパネル、色つきパネルの3種類くらいはあるようなので、会場で実車を見る方は注意深くチェックしてみてください。

【ホンダ プレスブリーフィング】

■16:00からホンダの四輪ブースでプレスブリーフィングが行われました。ホンダブース内に入りきらないくらいの人数が集まり、16時ちょうどに吉野社長がステージ上に登場しました。吉野社長からは、今回のショーのコンセプトについての説明をはじめ、先日シビックがマイナーチェンジで受けた「超−低排出ガス」認定を2005年までに主な車種で達成することや、燃料電池自動車を2003年に実用化すること、今回参考出品者として展示されている「S・U・U」を年内に市販することなどが発表されました。

■吉野社長の挨拶が終わると、今回の展示車を紹介するデモンストレーションが行われました。ステージ上にダンサーが登場し、NSXとシビックのタイプR、「S・U・U」と「w・i・c」、そしてステージ左端の「BULLDOG」右端の「model X」の順で紹介されています。

■「model X」の紹介が終わったところで、ステージ中央にはASIMOが登場!(実物を初めて見ました)!ASIMOもクルマを指さしたりしゃべったりしながら残りの2台のコンセプトカーを紹介します。

■デモンストレーションが終わったところで「ここでゲストの登場です」のアナウンス。誰が出てくるのだろう?と思っていたら、先日来期からのF1参戦を発表した佐藤琢磨選手がステージ奥から登場しました。

■最後に、吉野社長、佐藤選手、ASIMOがステージ中央に集まって記念撮影。人混みをかき分けて撮った写真です。

【S・U・Uとw・i・c】

■続いては参考出品車となる「S・U・U」。先ほどのプレスブリーフィングで吉野社長が「年内に発売する」とコメントしたクルマです。近くにホンダの開発担当者の方がいたのでお話を伺いながら写真を撮ってきました。
「S・U・U」はフィットをベースにホイールベースを延長し3列シート7人乗りを実現したクルマで、フィットと同じようにガソリンタンクが運転席の下にあるセンタータンクレイアウトを採用しているそうです。エンジンについて聞いてみたところ、フィットと同じタイプ(=i-DSI)を使うけれど排気量が大きくなっているという答えが返ってきました。
最初に「S・U・U」を見たときにボディ側面の窓の大きさに驚いたので、大きな窓を採用した背景を聞いてみたところ、「S・U・U」はヨーロッパの路面電車をイメージしてデザインされていることや、車酔いが始まる2歳の子供が2列目にチャイルドシートを使って座ったときに、外の景色が見えるように窓の大きさが計算されているといった予想外の理由を聞くことができました。


■正面から見たときにはほとんど四角形のヘッドライトですが、横から見ると写真のようなちょっと変わった形をしていて、オレンジ色のレンズの部分がずいぶん大きいことがわかります。「S・U・U」は市販車もほぼ同じデザインになるそうです。


■「S・U・U」はリアに両側スライドドアを採用しています。ステップワゴンのような電動スライドドアは今のところ採用されていないそうですが、オートクローズは採用されているそうです。

■室内をのぞき込むとかなり天井が高く見えますが、身長175cmの人が全席に座れるように作ってあるそうで、後席の足元スペースも十分なスペースがあるそうです。この広い空間に大きく貢献しているのがセンタータンクレイアウトで、2列目・3列目の足元スペースが確保できるほか、後ろにガソリンタンクがないために右の写真のように3列目のシートを折り畳んで2列目シートの真下に収納することができるそうです。


■「S・U・U」の隣には『What is a car ?』から名付けられた「w・i・c」がありました。このクルマは軽自動車サイズのようで周りの展示車と比べてもひとまわり小さく見えますが、フロントはかなりの存在感を出しています。左右のヘッドライトが一直線につながっていて、その間には吸気口と思われる開口部。ナンバープレートの位置もそれにあわせて向かって右にオフセットしています(ライフダンクのような感じですね)。


■フロントに比べるとシンプルなリア周り。小さく控えめなテールランプが左右にちょこんとついている感じです。

■タイヤのトレッドパターンが面白かったので写真を撮ってきました。○、△、□が組み合わさって模様を作っています。リアのタイヤは右の写真のようにボディギリギリの位置に取り付けられていました。


■室内はまるで市販車のようなシンプルな作り。中だけ見ると、すぐにでもエンジンをかけて道路に走り出していけそうな気がします。

【NSX-RとCIVIC Hybrid】

■今日はプレスデーの2日目。今日も開場となる9時から幕張メッセに来ています。今日は初日の昨日と比べると人出はまばらで、ゆっくりと会場内をまわることができそうです。

■まずはホンダのブースから昨日紹介しきれなかった展示車をレポートしていきます。

こちらはブースの中央付近に展示されている「NSX-R」。個人的には一番気になっていた1台です。クルマ全体の形に大きな変更点はないようですが、タイプRシリーズ恒例のチャンピオンシップホワイトのボディに対してカーボンボンネットとカーボンリアウイングの「黒」の印象が強いことや、従来のNSXで採用されていたリトラクタブルヘッドライトが固定式になったことで、特に正面から見るとNSXとは違うクルマにも見えました。ホンダのスタッフの方の話ではこの「NSX-R」はNSXの進化を表すデザインを「提案」したもので、まだエンジンの詳細や市販について話をする時期ではなく、今回のモーターショーではホンダからの提案に対しての各方面からの声を集め、今後の開発の方向などを検討したいということでした。「NSXはホンダにとっての財産だと考えているのでこれからも大切に育てていきたい」というコメントも聞くことができ、ホンダのNSXに対する思い入れを伺い知ることができて、ちょっとうれしくなりました。

■固定式になったヘッドライトです。正面から見ると平行四辺形のような形をしていますが、真横から見ると上にふくらんでいるのがわかります。スタッフの方にリトラクタブルから固定式に変更した理由を聞いてみたところ、リトラクタブルだとパッシングなどで不便な場合があるといった実用的な理由のほかに、ON・OFF時でフロントのダウンフォースに大きな差があり(ON時にダウンフォースが小さくなるようです)、フロントタイヤのグリップが失われやすい雨の日の夜間などでも安心して走れるように固定式を採用したという理由があるそうです。NSXを「進化」させるために従来採用してきた方式を変更したとのことでした。

■ボンネット、リアウイング、ドアミラーの素材にカーボンが採用されています。遠くから見ると真っ黒ですが、近くで見るとカーボンの編み目が見えてとてもきれいです。もともとNSXのボディには軽量のアルミが採用されていますが、これをカーボンにすることでどのくらい違いがあるのか聞いてみると、素材自体の重量は3/4程度にできるけれどもカーボンを車体に利用する上でねばり強さなどを持たせる必要があり、単純に素材の重量差だけ軽量化できるわけではなく、このあたりの手法も今後の検討課題であるとコメントしてくれました。

■よく見るとボディの下にカーボン製のディフューザーが装着されていました。かなりの大きさがあって、まるでGTマシンのようです。

■ホイールはボディと同色の7スポークタイプで「NSX-R」のロゴが入ったものが装着されています。奥に見えるローターは前後ともスリット入りのものでした。タイヤサイズはフロントが215/40R17、リアが255/40R17になっています。

■「NSX-R」の周りには先週発表されたばかりのシビックタイプRと、7月に発売されたインテグラタイプRが展示されていました。

■「NSX-R」の展示されているステージのすぐ横に、コンセプトカー「DUALNOTE」の運転席部分が展示されていました(昨日は気付きませんでした)。この部分には色々な機能が集約されていて、3Dでスピードやエンジン回転数、それから電話の着信状況などが表示されるメーターパネル、フロントウインドウの下には夜間でも路上の歩行者を表示できるナイトビジョンのディスプレイ、センターコンソールにはナビや電話の状況などが表示されるモニター(このモニターはセンターコンソールから飛び出てきます)などのデモンストレーションが行われていました。

■ホンダブースの一番手前の部分には「CIVIC Hybrid」が展示されています。このクルマも昨日吉野社長から「年内に発売する」と発表されたモデルで、かなり注目を集めていました。見た目は通常のシビックフェリオで、リアについている「CIVIC Hybrid」のエンブレムを見なければ、ハイブリッドカーだとわからなそうです。

■トランクを開けるとリアシートの後ろに収納された「インテリジェントパワーユニット」を見ることができます。これはバッテリーとパワーコントロールユニットを一緒にしたもので、左の写真のオレンジ色の部分がバッテリーになっているそうです。エンジンはフィットをベースにした1.3L i-DSIで、エンジンと変速機の間にモーターが組み込まれていました(中央と左の写真でオレンジ色の部分)。モーターが想像していたよりも小型で驚いたのですが、通常のシビックフェリオと比べて、車重は60〜70kg増程度に抑えられているそうです。このモーターはエンジンの補助に使われていて(モーターだけで走ることはないそうです)、これにより1.3Lのエンジンで1.5L並のパワーを出すことが可能となっているそうです。

■近くで車内を見せていただくことができました。運転席にも座ることができましたが、外観と同様に車内も通常のセダンと全く同じ。メーターパネルにはハイブリッドシステムである「IMA」の文字が入り、一番右側のメーターでモーターの作動状況などを確認できるようでした。
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