【初代】シビック CVCC(1973年)
1972年から発売、「メカは小さく、人のための空間は大きく」という設計思想により「世界のベーシックカー」を目指して誕生したのが初代です。展示車は1973年12月に発売になったモデルで、当時の排ガス規制「マスキー法」を世界で最初にクリアしたCVCCエンジンを搭載しています。過去にNHKの「プロジェクトX」でも取り上げられたことがありましたね。排気量は1.2Lで最高出力60馬力、後に1.5Lで78馬力のモデルも1973年に追加されます。この頃の国産車はいわゆる3BOXスタイルのFRのセダンが主流で、2BOXのスタイルは軽自動車で多かったため軽自動車と思われるという話もあったようです。米国自動車技術者協会(SAE)から「20世紀優秀技術車(Best Engineered Car)」の1970年代優秀技術車に選出されました。
【初代】シビックRS(1975年)エンジン出力を76馬力までパワーアップし、5速MTをはじめ足回りも強化したスポーツモデルとして1974年10月に追加されました。RSは「ロードセーリング」の略称とのこと。「スポーツ」じゃないのは当時の運輸省の認可を取るためだったとも言われています。先程見た銀色の73年式車と比べると、3ドアであることもそうですがバンパーの造形やホイールの違い、スポーティなシートも相まって迫力すら感じます。そういえばフロントグリルの「RS」のエンブレムやオレンジのボディカラーは後にフィット、ジェイド、N-ONEにも引き継がれていますね!
【初代】シビック ツーリングカー選手権仕様(1984年)
本田技術研究所の四輪部門のメンバーが1965年に創部した社内自己啓発チームの「チームヤマト」が富士スピードウェイで開催されていた「マイナーツーリングシリーズ」に1978年から初代シビックで参戦を開始、1983年にはチャンピオンを獲得しました。市販車はすでに3代目「ワンダーシビック」の時代である1984年まで活躍していたそうです。レーシングカーならではのオーバーフェンダーや前後エアロパーツ、内装を剥ぎ取ったスパルタンな室内がド迫力です。サイドウインドウなんかもよく見たらガラスじゃなくて多分アクリルでしたし、相当軽量化されてるんでしょうね。初代シビック FACT BOOKhttps://www.honda.co.jp/factbook/auto/CIVIC/19720711/https://www.honda.co.jp/factbook/auto/CIVIC/19731212/FACT BOOKの諸元を見て驚いたのが車体サイズは全長3,405mm、全幅1,505mmとのことなので、現代の軽自動車(全長3,400mm以内、全幅1,480mm以内)よりちょっと大きいだけ。車両重量は600kg(一番重いGLグレードの3ドアでも650kg)しかありません!
【2代目】スーパーシビック CX(1979年)
初代の台形デザインを踏襲し経済性、居住性、操縦性、静粛性などを全面的に改良したというモデルチェンジです。エンジンは1.3Lと1.5LのCVCCエンジンで出力も向上しています。デザインの印象は初代をさらに洗練したイメージ、という印象を受けました。スピードメーターとタコメーターが同軸なっているメーターとか、メーター横にリヤワイパーやリヤデフォッガのロータリー式の操作スイッチが付いているのは当時かなり見慣れなくて斬新でした。このモデルから4ドアセダンもラインナップに加わっており、デザインの系統としては当時の初代プレリュード、クイントも近いので2ドア、3ドアハッチバック、4ドア、5ドアハッチバックと揃ってたなぁと思ったものです。あとこの頃のホンダ車でよくありましたけどドアロックのノブがドアノブのとこについてるの当時なかなか慣れませんでした・・・
【2代目】シビック カントリー(1980年)
5ドアバンをベースにしたホンダ初のステーションワゴンとして「シビック カントリー」が1980年に追加されました。ボディには木目調のストライプが入っていて街中で見かけるとすぐシビックカントリーだと分かるぐらい特徴的でした。リヤシートは4段階に角度調節が可能なバリアブルシートを装備し、たたむことでフラットで広い荷室を使えるようになっていました。2代目シビック FACT BOOKhttps://www.honda.co.jp/factbook/auto/CIVIC/19790718/車体寸法は3ドアで全長3,760mm、全幅1,580mmとなり初代より30cm長く7.5cm広くなっていました。車両重量は720〜770kgとなっています。
【3代目】ワンダーシビック3ドア(1983年/展示車両は1984年モデル)
「ワンダーシビック」の名称で知られる3代目シビックはルイ・アームストロングの「What a Wonderful World」をBGMにしたCMがとても印象的でした。3ドアのルーフはボディのほぼ後端まで伸ばされ、ボディ後端はスパッと切り落としたようないわゆるコーダトロンカ形状。これは空気抵抗を減らす形状で、キープコンセプトだった2代目とはガラッと変わってフロントからリヤまで空力特性を改善するデザインであることが想像できます。後席スペースはそのぶん広々としていて、久しぶりに実車見ましたけど窓から中覗いて思わず「広っ!」って声に出してしまいました。このモデルからDOHCエンジンのSiグレードが追加され、モータースポーツでも活躍しました。
【3代目】シビックシャトル(1983年)
後にフィットシャトルやシャトルの車名の元になったのがこれです。3ドアの全高が1,340mmに対し5ドアは1,480mmと大きなボディ、ルーフまで回り込んだリアのガラスセクションによる明るい室内、シートアレンジにより様々な使い方ができる室内など、SUVのさきがけとも言えるモデルでした。展示車のこのメタリックなオレンジ色もなかなか斬新でしたね。このモデルではシビックシリーズ初の4WDも登場しています。あと、商用車の「プロ」もこのボディでありましたね。白一色のボディ前後黒のバンパーがホンダの商用車イメージでした。
【3代目】シビック 全日本ツーリングカー選手権仕様車(1987年)
シビックSiをベースにしたグループA仕様マシン。1985年から始まった全日本ツーリングカー選手権(JTC)にワンダーシビックで参戦を開始。無限が制作し、デビュー年には中嶋悟/中子修ペアで第4戦(鈴鹿サーキット)ではポールポジションから総合優勝も果たしています。展示車は1987年の全日本ツーリングカー選手権に出場し、中子修/岡田秀樹ペアが圧倒的強さでクラス6戦全勝という圧倒的な強さを発揮しました。3代目シビック&バラード FACT BOOKhttps://www.honda.co.jp/factbook/auto/CIVIC/19830922/車体寸法は全長3,810mm、全幅1,630mm。少しずつ大きくなっていますタイトルを見ると分かりますが、バラードと同時開発ですね。シビックにもバラードにも4ドアセダンがあるのですが、よく似てます。グレード名は数字だったのが昔は不思議だったのですが、1桁目が3ドアは「2」から始まり、4ドアは「3」、5ドアは「5」で、2桁目は排気量で「3」か「5」、3桁目は「i」がインジェクションでそれ以外はグレードによって違う・・・というのが分かれば何ということはないですね。
【4代目】グランドシビック(1987年)
人間の感性と技術の融合<ヒューマン・フィッティング・テクノロジー>を掲げ、爽快さを追求した4代目は「グランドシビック」と名付けられました。先代に比べ全体的に丸みを帯びたロー&ワイドなプロポーション、ハイパー16バルブエンジン、四輪ダブルウイッシュボーンサスペンションなどを採用し、1989年にはVTECエンジンのSiRが追加されました。ワンダーシビックも含めこの頃は1.6LぐらいのエンジンでFFハッチバックのいわゆる「ボーイズレーサー」とか「ホットハッチ」とか言われるクルマがたくさんありましたが、スーパーチャージャーやターボで145馬力を出していたライバル車に対しホンダは自然吸気で160馬力を絞り出すVTECエンジンを投入してリッター100馬力を実現してしまいました。このあたりからシビックを型式名で呼ぶのが流行ってきたような印象があります。「グランド」じゃなく「EF9」とか。SiやSiRのイメージにより80年代のシビックといえばこういったスポーツ志向のクルマという印象がかなり強いですが、セダンやシャトルもモデルチェンジされており、特にシャトルはRVっぽいナリの「シビックシャトル"ビーグル"」なんてのもありまして、この車種の裾野の広さたるや・・・
【4代目】シビック 全日本ツーリングカー選手権仕様車(1990年)
DOHC・VTECエンジン搭載の「シビックSiR」をベースにしたグループA仕様マシン。EF9のVTECエンジンは225馬力以上にチューニングされ、90年はシーズン2勝をあげました。4代目シビック&CR-X FACT BOOK
https://www.honda.co.jp/factbook/auto/CIVIC/19870909/タイトルを見て分かる通り、CR-Xと同時開発。エンジンも同じでしたね。車体寸法は全長3,965mm、全幅1,680mm。
【5代目】スポーツシビック(1991年/展示車両は1993年モデル)
5代目の「スポーツシビック」は明確に個性を分けたハッチバックとセダン、走行性能と燃費を両立させる3タイプのVTECエンジンなど、これからの小型車の基本形となる「ニューベンチマーク・カー」として開発され、そのコンセプトを具体化するために・低燃費と走りの両立
・乗り心地とハンドリングの気持ちよさの両立・空力ボディと快適な居住空間の両立を掲げています。FACT BOOKを読むと若者向けのコンセプトとして「シビックは5人乗りだとする概念」をあっさり捨てて「前席に乗るカップルのためのスペース」としてデザインコンセプトがあるそうです。リヤも前二人のためのスペースとしてリヤから積み込みが出来るようにとテールゲートはガラス部分が上に、そこから半分は下向きに開くスタイルとなっています。(展示車は触ることができないので試せませんが)先代に比べるとまた随分曲面の多いデザインになったなぁと思いました。テールゲートにある車名ロゴもこの代のみ小文字筆記体となり、随分柔らかいというか流麗というか、ボディデザインも相まってそんな印象です。そんなカップル向けコンセプトとは裏腹に、モータースポーツ方面で「EG6」とか「EG9」とかのSiRグレードのほうが脳裏に焼き付けられてたような気がします。このモデルではセダンは「シビックフェリオ」と名付けられています。また、シャトルは廃止されました。5代目シビック/シビックフェリオ FACT BOOKhttps://www.honda.co.jp/factbook/auto/CIVIC/19910910/車体寸法は全長4,070mm、全幅1,695mm。5ナンバーいっぱいの幅に迫ってきました。
【6代目】ミラクルシビック(1995年)
「ハイパー・レボリューション」をコンセプトに、これまでの「大衆車」という概念を超え、グローバルな視点から時代の要請に応える車を目指し開発された6代目は「ミラクルシビック」と呼ばれます。3ステージVTEC+無断変速のホンダマルチマチックや、シビック初のタイプR、天然ガス仕様車などが追加されました。4〜5代目とライトが細長いイメージだったので、このモデルが出た時に「ライトでっか!テールランプ縦!」って思ったものです。そういえば同時期のセダンモデルで「インテグラSJ」がありましたけど、このモデルでのシビックフェリオもインテグラSJも型式は「E-EK3」なので登録上は同一車種なんですよね。
【6代目】シビック タイプR(1997年)
NSX、インテグラに設定されたタイプRがモータースポーツで成果を上げていたタイプRが6代目シビックから設定されました。リッター116馬力を発揮するエンジンを搭載し、低重心化・ボディ剛性の向上・軽量化などが行われました。
メーカー謹製チューニングカーとでも言うべき佇まいはなかなか迫力がありました。6代目シビック/シビックフェリオ FACT BOOK
https://www.honda.co.jp/factbook/auto/CIVIC/19950904/
シビックタイプR FACT BOOKhttps://www.honda.co.jp/factbook/auto/CIVIC/19970822/
車体寸法は全長4,180mm、全幅1,695mm。全幅は5ナンバーではこれ以上増やせないですね。
【7代目】スマートシビック(2000年)
M・M思想を更に進化させた「スマートコンパクト」をコンセプトに開発、世界各国で生産され、日本国内では5ドアハッチバックと4ドアセダンのみでしたが海外では3ドアやクーペも販売されていました。
ハッチバックはインパネに設置されたシフトノブが特徴的で、前後のウォークスルーも可能でした。国内のラインナップから3ドアがなくなり、この様変わりはシビックという車種にとって正直なところかなり意外でした。コンパクトなミニバン、とでも言うべきなのか。ハッチバックはMTもなくなり、スポーティなこれまでのイメージからは大分舵を切ったモデルだなと思ったものです。7代目にも設定されたタイプRはイギリスで生産されたものを輸入して販売されました。インパネシフトのまま6速MTだったりテールゲートのCIVICのオーナメントの横にユニオンジャックのマークがだったりととても印象的でした。また、2001年には4ドアセダンのシビックフェリオをベースにハイブリッドが追加されました。初代インサイトがハイブリッド専用車だったのに対し、ガソリン車と同じ形で同じ室内スペースを持ったハイブリッド車が出た、というのは当時驚かされた記憶があります。7代目シビック/シビックフェリオ FACT BOOK
https://www.honda.co.jp/factbook/auto/CIVIC/200009/シビックタイプR FACT BOOK
https://www.honda.co.jp/factbook/auto/civic-r/200110/シビックハイブリッド FACT BOOKhttps://www.honda.co.jp/factbook/auto/civichybrid/200112/車体寸法は全長4,285mm、全幅1,695mm。5ナンバー最後のシビックです。
【8代目】シビック(2005年)
ついに国内ではシビックからハッチバックが消えてしまいました・・・・。あと、○○シビックという愛称もなくなりました。ボディサイズも拡大され、このモデルから3ナンバーのサイズとなりました。
ここで「シビック」という車種の立ち位置が大きく変わったように思えました。日米向けは4ドアセダン、欧州向けはハッチバックとデザインも分かれました。
欧州向けハッチバックも結構かっこよかったんですけどねぇ・・・。2007年にはタイプRが追加、内容はかなり気合入ってます。FFタイプR最速って謳ってました。4ドアセダンだから世帯持ちにも売れたと聞きますが、サーキットベストで作られた乗り心地のクルマで家族乗せてドライブは根性いるんじゃないですか・・(家族が)2009年にはハッチバックのタイプRユーロがイギリスから輸入・限定販売されましたが、限定故に試乗どころか実車を見ることすら無いという方も結構いるんではないでしょうか。当時ホンダネットで試乗レポートできないかと考えたんですが、どこの販売店でも展示車・試乗車としては持っておらず断念したんですよ・・・8代目シビック/シビックハイブリッド FACT BOOK
https://www.honda.co.jp/factbook/auto/CIVIC/200509/シビックタイプR FACT BOOKhttps://www.honda.co.jp/factbook/auto/CIVIC_TYPE_R/200703/車体寸法は全長4,5450mm、全幅1,750mm。全幅が1700mmを超えたためついに3ナンバー化しました。
【9代目】シビックタイプR(2015年)
2011年に米国向けのセダン・クーペ、2012年に欧州向けのハッチバックにそれぞれモデルチェンジが行われましたが、日本での発売はなく、2010年に8代目の販売が終了して国内のラインナップからついにシビックの名が途絶えてしまいました。が、2015年にイギリスで生産されたタイプRが日本に輸入され750台の限定販売が行われました。という経緯からこれまで街中で見かけたことが2〜3回あったかどうだかだったんですが、実車をここで初めてまじまじと見ました。「FF量産車最速」を狙ってとうとうVTECにターボまで付いて最高出力310PS、最高速度270km/hなんてスペックに仕上がってます。見た目もかなりとんがってます。個人的にはフロントフェンダーの上部と後部のアウトレットがかなりやる気感じるポイントでした。あとこの見た目で5ドアハッチバックだというのがなかなかそうは見えないですよね。シビック タイプR FACTBOOK
https://www.honda.co.jp/factbook/auto/CIVIC_TYPE_R/201510/
【10代目】シビック セダン(2017年)
8代目が日本で販売終了してから途絶えていたシビックの名称が10代目で7年ぶりに復活、地域別に異なっていたボディタイプが全世界で統一され、ハッチバック、セダン、タイプRがラインナップされています。米国のみクーペもあるそうですね。これまで後付の改良で設定されていたタイプRをこのモデルでははじめから同時に開発することにより、全タイプにてタイプRに通じる高い性能を獲得しています。8代目の時点で3ナンバー化してましたが、かなり大きい車になったなぁと思いました。なんたって全幅1800mm(タイプRは1875mm)です。現行のホンダのセダンのラインナップを見ても全て1800mm以上なので、国産車もそういうサイズになってきたんだなぁ・・・というのはちょっと驚きでした。そういえば発売前にUSサイトのビデオとか見てて気になったのが、フロントフェンダーの前にあるサイドマーカーの存在。他車でも北米仕様のみ装備されていることは多いのですが、日本では乗用車には規定がない装備のため日本メーカーでこれを純正で装備している車種って他メーカーを含めほとんどないのです。(他はレジェンドぐらい)国内販売時にはてっきりウインカーとして転用するのかと思ったらまさかそのままマーカーとして点灯させているとは意外でした。USDM嗜好の人しか気にしないでしょうけどこういったところも世界統一の仕様なんだなぁと思わされた部分です。10代目シビック FACT BOOKhttps://www.honda.co.jp/factbook/auto/CIVIC/201707/
【歴代のエンブレムを並べてみました】
パッと見は初代と2代目が同じような書体で、3〜7代目が特にそれぞれ大きく異なり、8代目以降は斜体やVの大きさの違いなどありますが書体は似ているようにも見えます。
【ポスター展示】
シビックブースに貼られていた歴代の販促ポスター達。いやー懐かしい!という方も結構いらっしゃるのではないでしょうか。
【その他の展示物】
ブース横のショーケースにはカーオブザイヤーなどのトロフィーや国内外のカタログ、ミニカーなどが展示されていました。